文学の森

書庫 書き溜めた短編

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

別窓 | スポンサー広告
∧top | under∨

月の裏の住人10

     十
 卑弥呼は言った。もし、自殺者を出したくないのなら、安部と二宮を抹殺するべきだと。そうしないと、彼らにより苦しみぬいて死ぬ者が現れると言う。同じ命を消すのなら、その二人を消しなさい、と。卑弥呼は未来が予想できるらしく、安部と二宮により、三名の自殺と見せかけての殺人があるという。
「安部と二宮を消すより、他の三人を消したほうが、人口減少になるんじゃない?」
 そう研は言った。
 克雄は沈んだ顔で、「もうひとり、死者がキチンと用意され、つじつまがあうらしい」と言った。
「誰なんだろうね、武司君」
「校長かな?もう死んだけど」
「きっと、そうだよ」
 研は安心したように笑った。
「これで、苛めで殺される人が、少なくとも三人は救われたことになるね」
「ああ」
 克雄は厳しい目つきで前を見据える。
 目の前には、使われなくなった古いトンネルがある。
「このまま、この中を通過している時に、安部と二宮が現れるんだね。卑弥呼の予言では・・・」
 三人は、卑弥呼の言う通りに行動することにした。勇気が出ない時は、「奴らは悪魔だ。裁かれる必要がある。そのことにより、善良な誰かが助かる。彼らは死ぬのではない。旅立つのだ」と繰り返し言うのである。勇気を奮い立たせるために。

スポンサーサイト

別窓 | 未分類 | コメント:0 | トラックバック:0
∧top | under∨
<<月の裏の住人 11 | 文学の森 | 月の裏の住人9>>

この記事のコメント

∧top | under∨
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

∧top | under∨
| 文学の森 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。